前立腺情報局

前立腺の人体断面図

前立腺がん

前立腺がんはいくつかに分類されています。高分化型腺がんと中分化型腺がん、低分化型腺がんの3つに分けられます。正常な前立腺の細胞に近い高分化型腺がんは比較的おとなしいタイプのものです。悪性度が中程度の前立腺がんを中分化型腺がん、悪性度が最も高いものが低分化型腺がんになります。進行期も病期A、B、C、Dの4つに分けられ、Aの場合は前立腺の中にできたごく小さながんで、他の手術の際などに偶然見つけられたものをいいます。Bは前立腺内に留まっているもの、Cは前立腺内ばかりではなく、被膜を通り越して広がりを見せているもの、精嚢まで侵されているものです。Dは前立腺ばかりではなく、骨やリンパ節、離れた臓器への転移が明らかになっているものを言います。

前立腺がんの症状

早期のがんが見つけにくいように、前立腺がんも早期には症状が出ないものが多いです。出る症状としては、前立腺肥大に伴った症状で、前立腺肥大と区別がつきにくくなっています。前立腺肥大を疑って泌尿器科を受診し、検査を行った結果、がんが発見されるケースが多いのです。症状が進行すると骨に転移しやすく、腰が痛くて検査を受け、前立腺がんが発見される場合もあります。稀に肺への転移で前立腺がんが発見される場合もあります。このように、他の臓器や骨にがんが転移してから発見されるということは、症状がかなり進んでいるということなのです。

前立腺がんの検査

前立腺がんが疑われる場合、慎重な検査が必要です。どのような検査が行われるのかは、【病院での前立腺検査】【専門的な検査】のページで詳しく説明していますので、ここでは簡単に紹介していきます。

PSA検査

最も重要な前立腺の検査として前立腺特異高原というPSA検査があります。これは腫瘍マーカーの検査になります。基本的に、前立腺がんのみをマーカーします。よく使われているのはタンデム法というもので、グレーゾーンが4〜10ng/mlになります。30%前後にがんが発見されますが、数値だけでは必ずしもがんとは限りませんので、他の検査結果も併せて判断されます。

前立腺生検

この検査は、がんであると確定するために行う検査になります。がんの疑いがある場合、最終的な診断を行うための検査です。細い針で前立腺を刺し、系統的生検呼ばれる組織を採取する検査が一般的になります。針を刺すのは6箇所以上になります。診断をより正確にするため、針を刺す本数がある程度必要になります。

グリーンスコアー

グリーンスコアーとは、がんの悪性度を病理学上の分類をしようして表すものです。悪性度を5段階で評価し、数字が大きくなればなるほど悪性になります。前立腺がんの場合、いくつもの悪性度の違う成分を持っているため、一番多い成分と次に多い成分を合わせてスコアー化します。これをグリーンスコアーと呼ぶのです。

前立腺がんの治療

手術、放射線、内分泌治療、待機療法などが治療法としてあります。大事なことは、発見したときに測定したPSAやグリーンスコアーの数値や病期の診断結果によります。前立腺がんはゆっくりと進行していくものですので、年齢やこの先どれくらい寿命があるかなどを考慮して、結果的には患者自身の前立腺がんにたいする考え方によります。実際に治療が行われるときには、いくつかの治療法が併用して行われる場合もあります。

待機療法

PSA20ng/ml以下、グリーンスコアー6以下、病期T1c〜T2bまでの症状に対しては、特に治療を行わなくても影響が出ない場合には待機療法になります。しかし、がんであるというのに治療を行わないことへの不安を感じる人には向いていません。

放射線治療

転移が見られない前立腺がんに用いられる治療法です。放射線でがん細胞を破壊して、それ以上増殖しないようにするものです。局所前立腺がんや局所進行前立腺がん、骨への転移での痛み、これらの緩和に行われる場合もあります。現在では、がんに蝕まれている臓器以外に放射線をなるべく当たらないようにできますので、あまり心配しないようにしましょう。

内分泌療法

これはホルモン療法になります。前立腺がんは男性ホルモンの影響も大きいことから行われる方法です。男性ホルモンを遮ることでがんの勢いがなくなります。転移のある前立腺がんに対して行われるもので、精巣を手術で取り除くか、アナログと呼ばれる注射を1〜3ヶ月に1度打ち、精巣が働かないようにします。内服薬では、抗男性ホルモン剤が使われます。この治療だけで完治することは滅多にありませんので、他の治療法と併せて行われます。発汗やのぼせなどの副作用が出る場合があります。抗男性ホルモン剤を服用した場合には、胸が張ったように痛くなったり、体重が増加しやすくなってしまいます。特に下腹部に脂肪がつきやすくなります。

手術療法

余命10年以上あると予測される場合で、PSA10ng/ml、グリーンスコアー7以下、病期T1c〜T2bの場合に行われます。最も性依存率が高くなると言われている治療法です。前立腺と精嚢を摘出する手術で、下腹部を切開する方法と、内視鏡で摘出する方法、会陰部を切開して摘出する方法などがあります。どれも一長一短ですのでどの方法がいいとは言い切れません。前立腺の手術に慣れている医療機関であれば、術後1週間前後で退院することができます。